小さなメルヘン

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窓を開けると、そこには小さな白い猫がいた。
屋根のひさしの端っこに、ちょこんと座って、空を見上げていた。

澄んだ空には雲が、ちぎれたパンのように浮かんでいた。
飛んできたツバメが、雲の端をついばんで、雨のしずくを、ひとつぶ落とした。

雨のしずくは道端の、タンポポの花びらをかたむけて、蜜を吸っていた蝶を驚かせた。
驚いた蝶は高く舞い上がり、小さな白い猫のヒゲをかすめて飛び去った。

飛び去ったあとの空には何もない。
ただ小さな白い猫が、空を見上げているだけだった。

(窓を開けると…… 01)
ファンタジー
公開:22/04/17 15:47
更新:22/04/18 13:34

あさこ

あさこです。よろしくお願いします。
ショートショートは初めてのチャレンジ。 短い文でまとめるのは難しい、試行錯誤中です。
カクヨムでも小説を書いています。https://kakuyomu.jp/users/kukiha
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