こわい話

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こわい本を読んだ。

こわいテレビを見た。

こわくてたまらなくなった。

夜、布団に入るまでこわかった。
布団に入ってからもこわかった。
こわい、こわい、こわい、、、

それでも睡魔はやってくる。
いつの間にかうとうとし始めたときだった。

がしっ!

強い力で手首を掴まれた。

刹那、思い出した。
さっき見た主人公が手首を引っ張られて、異界の地へ連れていかれる様を。

なんとかしなければ!

ふと、護身用にと、枕元に置いてあったバットを思い出した。それをもう片方の手で必死に掴むと、布団の脇に振り下ろした。

ごんっ!

何かがするり、と手首から離れた。
その拍子に、もう二、三度、バットを振り下ろす。

ごんっ、ごんっ、ごんっっ!!

はぁ、はぁ、はぁぁ…

暗闇の中。もう一度肩で大きく息をして、バットを投げ出し、布団へ潜った。

翌朝。布団の横で大きな蜘蛛が死んでいた。
ホラー
公開:22/04/17 13:19

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