空気を読む体重計

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祈るような気持ちで体重計に乗った。太ってしまった気がする。

「お願い……。あっ……ああっ……」

運命は残酷だ。体重計は私の願いを聞き届けてくれる事はなかった。それどころかそこには、残酷な数値が表示されていた。

「この馬鹿っ!!どうして!!どうしてそんな数字見せるのよ!!」

私は体重計に八つ当たりした。

「空気読みなさいよ!!乙女に失礼でしょ!!」

すると体重計の数値がどんどん減っていく。

「あれ?減ってる。凄い!!どんどん減っていくわ!!そう!!もっと!!もっとよ!!」

数値は更に減っていく。

「いいわよー。そのままそのまま。ちょ、ちょっとなんで止まるのよ!!空気読みなさいよ!!あと3キロよ!!」

すると数値は、更に3キロ減った。

「あんたやればできるじゃない。良い子ね」

「空気を読みました。でも実際の数値とは違うのでご了承下さい」

体重計がはっきりそう喋った。
公開:22/04/17 08:58

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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