金婚式の旅先

「新婚旅行の写真か。懐かしいな」
「そうなの。あれから５０年も経ったなんて」
「この時、俺が無理言って人里離れた所で迷子になったんだ」
「そうそう、新婚早々険悪になってね。でも偶然出会ったこの老夫婦に助けて貰えた」その老夫婦と撮った写真。
「あなた躓いてセルフタイマーに間に合わず真顔なのよね」
「だからこの旦那さん俺を見て笑顔だったんだな」「知ってたのね」
「気づかないもんだな」「まさかこの頃に想像すら出来ないわ」
「確かにそうだな…」「そろそろ出掛けましょうか」
「おい写真の赤いスカーフ忘れてないか」
「あらいけない」と照れ笑いし先日買ったスカーフを首にまいた。
「たまげたな」
古い写真から飛び出してきたようにあの老夫婦がここに居る。
「本当は世界一周に行きたいんじゃないのか」
「昔はね。でも早く行かないとあの子達が迷子になっちゃう」
そうだなと微笑み２人でタイムマシンに乗り込んだ。