伝書鳩B483

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鳩の足元に手紙を括りつける。

「さあ行って。手紙を届けるんだ」

ここは鳩郵便局。伝書鳩を使って手紙を届ける郵便局だ。毎日沢山の鳩に手紙を運ばせている。空を飛んで届けるから手紙が最速で届く事でお客達からも大好評だ。しかし今日は様子が違った。一匹の伝書鳩がいつまで経っても戻って来ないのだ。

「伝書鳩ナンバー、B483が戻らない。誰の手紙をどこへ配達しているんだ?」
「小さな孫から入院しているおばあさん宛ですね。病室に届けるみたいです」
「そうか……。かまわん。遅くなっても良い」
「いいんですか?まだ沢山仕事が残ってますよ」
「他の伝書鳩にやらせろ」

後に分かった事だが、伝書鳩B483は、孫の書いた手紙を読んで会いたくなった。でも会えなくて寂しくて泣いていた。伝書鳩B483は、おばあさんが落ち着くまでずっとそばにいてあげたのだ。

「俺達が届けるのは、手紙と……そして思いやりだ」
公開:22/04/18 08:52

富本アキユ( 日本 )

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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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ブラウン・シュガー
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