見つめるその先に

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丘の上で二人は、空を見上げていました。風一つなく、静かな夜。今夜はしし座流星群のピークなのに、うすぐもり。
「流れないなぁ。」
「流れないねぇ。」
「あっ!」
彼女の指さす方を見ると、小さな光がまっすぐ横に動いています。
「あれは飛行機だよ。」
「なーんだ、飛行機か。」
飛行機は、すーっと移動して、月にぶつかりました。
ドン!
打ち上げ花火みたいな音がして、
ヒュルルルルー。
しだれ柳のように、三日月が落ちてきて、地平線の向こうへ消えていきました。
「流れ……月?」
二人の声が重なり、また静寂。
丘の上で二人は、地平線の向こうを眺めていました。
カサカサ、カサカサカサ。
闇の切り出された切り絵のように、二羽の黒い鳥が飛び立ちました。さっきの三日月を二羽で上手に支えて運んで、元あったところに戻すと、また、闇へと消えていきました。
空には三日月。
丘の上で二人は、空を見上げています。
公開:22/04/18 08:33

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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