初恋の音色

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ガシュッ。カラン。
ビー玉が透明なガラス瓶の中で踊る音色が聞こえる。
シュワワッと炭酸が弾けているガラス瓶を、僕は君にゆっくりと手渡す。
「ありがとう」
打ち上げ花火の灯りに照らされながらそう応えた君の横顔は、可憐な浴衣姿に相反してどこか儚げだった。
二人の間に沈黙が流れる。

ドォン、ドンドォン。

どれほど時間が経っただろうか。
空を舞う花達に背中を押されたかのように、君は突然立ち上がった。
「私達、別れよう」
「……うん」
僕の返事を聞いた君は、少し名残惜しそうに背後へ振り返り、そのまま祭りの喧騒の中へと消えていった。
「これで良かったんだよな」
静かに嘆く。
わかっていた事だった。
これはお互いの為だ。
僅かなわだかまりを心の内に秘めながら、眼前に広がる華麗な花達をぼんやりと眺める。
僕と彼女の隙間にあったガラス瓶からは、もう炭酸が弾ける音は聞こえなかった。
青春
公開:22/04/17 23:00
更新:22/04/18 12:24

一色

自己満足兼、備忘録的にショートショートを投稿します。Twitter(@issiki_1205)

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