夏、枯れる君

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「見て、せんせ。この前植えた花咲いてるよ」
 雨上がりのじんわりとした空気が漂う中庭で、少女は笑う。
 短く切り揃えられた茶色の髪は風で揺れ、波のようになびいている。
 空からの刺すような光に照らされ、碧眼の瞳は輝いていた。
 その瞳も、時間も、君も、全て宝物みたいに美しくて。
「ほら先生も。ちゃんと近くで見てよ」
 手招きする少女に誘われ、僕は花壇に近づいていく。
 その花もまた、綺麗で。
「悲しいよね、こんなに綺麗に咲いてるのに。夏が終わると枯れちゃうんだから。まるで」
 まるで。
 君みたいだ、と思った。
青春
公開:22/04/17 21:57

一色

自己満足兼、備忘録的にショートショートを投稿します。Twitter(@issiki_1205)

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