「近藤」はどこに。
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                                散歩の途中、「近藤」と書かれた表札を見て、大学時代の彼を思い出した。
同じサークルだった彼は法学部で少し理屈っぽいところがあった。感情的になりやすい私とはよく喧嘩をした。
一方で、自分の名字が「近藤」になった時の自分のフルネームを想いながら赤面した夜も、何度過ごしたか分からない。
しかし、大学を卒業してからお互いに忙しくなって、疎遠になった。今、彼がどこにいて、何をしているのかも知らない。
今思えば幼稚な恋だったが、あの時はよく大騒ぎしたものだなと苦笑した。
それでも、「近藤」という字面は私に過去を想起させる。
私はこれから色んな「近藤」に出会うだろうが、私の中の「近藤」はいずれ上書きされるのだろうか。
少し苦味が残る思い出だが、「近藤」が上書きされる日が来るのはもう少し先でもいいかな、と思う。
上書きされるかもしれない「近藤」との思い出を胸にしまい、隣を歩く夫の手をそっと繋いだ。
    同じサークルだった彼は法学部で少し理屈っぽいところがあった。感情的になりやすい私とはよく喧嘩をした。
一方で、自分の名字が「近藤」になった時の自分のフルネームを想いながら赤面した夜も、何度過ごしたか分からない。
しかし、大学を卒業してからお互いに忙しくなって、疎遠になった。今、彼がどこにいて、何をしているのかも知らない。
今思えば幼稚な恋だったが、あの時はよく大騒ぎしたものだなと苦笑した。
それでも、「近藤」という字面は私に過去を想起させる。
私はこれから色んな「近藤」に出会うだろうが、私の中の「近藤」はいずれ上書きされるのだろうか。
少し苦味が残る思い出だが、「近藤」が上書きされる日が来るのはもう少し先でもいいかな、と思う。
上書きされるかもしれない「近藤」との思い出を胸にしまい、隣を歩く夫の手をそっと繋いだ。
        青春
      
      公開:22/04/16 15:30      
    
                  恋愛 
                  400字 
                  思い出 
              
    アラフォー。会社員。日常にありそうなブラック、もしくはホワイト、時々ブルーなことを書いていければと思います。
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                           ユカミリク
ユカミリク