ショートショート

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二人掛けのソファに腰を沈めてプロ野球中継を観ていると、文庫本を持った彼女が隣に座ってきて、文庫本の間から蛙がプリントされた若草色の栞を取り出しながら言った。
「最近、ショートショートって流行ってるよね」
「うん。でも、俺はあんまり好きじゃないかも」
「なんで?」
「だって、短すぎるでしょ」
そう言って視線を向けた液晶画面の中では、背番号42の選手が打席に向かう途中であった。
打席に立った選手の膝元に目を向けると、ハーフパンツかと疑いたくなる程の極端に短いベースボールパンツの裾は膝の上にあって、ソックスとの間に褐色の膝が顔を覗かしていた。
スライディングをしたら膝が擦りむけてしまいそうだし、デッドボールが直に当たったら痛そうだ。
だから、ショートショートはあまり好きなスタイルじゃないんだよな。
一ページ繰るごとに、ふぅと一息つく変な読み方をする彼女を他所に、バットがボールを叩く快音が響いた。
その他
公開:22/04/16 14:50
ショートショート 小説 野球 ユニフォーム Jackie Robinson Day 42 ジャッキー・ロビンソン

日笠山 水夫

日笠山 水夫(ひがさやま すいふ)と申します。
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