ハートカバー

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古書店が軒を連ね、本の街で知られる神保町の一角に、知る人ぞ知るブックカバーの専門店がある。
本のブックカバーには、薄いソフトカバー用と厚いハードカバー用があるが、この店にはハートカバー用もある。
ハートカバー用を本にかけると、その本が作られた心を読み解くことができる。
本は、著者が執筆して脱稿したら出来上がりではない。原稿を校正・校閲する出版社の編集者、本のカバーや挿絵を描くイラストレーター、本を装丁するデザイナー、本を作るために必要な紙の手配や印刷・製本する業者など、さまざまな人たちがかかわって一冊の本が出来上がる。これらの人たちの心情を知ることができるのが、ハートカバー用の特徴だ。
ハートカバー用をかけて本を読み終えると、著者と編集者との原稿のやり取りなど、その本が出来上がるまでの知られざるアナザーストーリーが心の声となって聞こえてくる。
そして、その本を愛しく感じることができるのだ。
その他
公開:22/04/16 07:02
神保町 ブックカバー ソフトカバー ハードカバー ハート カバー 著者 原稿

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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