デコピン

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早朝のベッドの中、寝たふりをする私に彼はデコピンをして「ずっと愛してた」という言葉を最後に出て行った。最後の別れ際がデコピンだなんて。普通そっとキスするじゃない。寝たふりをしながら私は、薄目を開けて彼が部屋を出て行く様子を見ていた。そして彼が出て行ったのを確認すると涙を流した。

「はい、カット―!!」
「お疲れ様です」

私は女優。これは恋愛ドラマ「デコピン」の撮影だ。

「ごめんね、真紀さん。デコピン痛くなかった?」

先ほどの彼氏役の俳優、中島英明が私に聞く。

「いいえ、全然。優しいデコピンだから」
「このドラマの影響でデコピンするカップルが増えてるらしいですよ」
「凄い反響ね」
「最近は、おでこが赤い女性が愛されてる証拠らしくて、皆SNSにアップしてますよ」
「デコピンされ過ぎて?」
「そうです。僕はデコピン俳優なんて言われてるんですよ」

後に彼は結婚。デコピン婚と言われた。
公開:22/04/15 11:05

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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