消える幼女

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私は道に迷った。ようやく落ち着いたその先に、幼女はいた。

「ばいばい」

怒っているように叫んで幼女は消えていった。あれは何だったのだろうか。
歩き続けるとようやく深い霧が晴れて知っている道に出た。よかった。これで帰れる。そう思った時、異変に気付いた。

「お腹が……」

私は妊娠している。三ヶ月だ。しかしお腹の張りが取れているのだ。私は嫌な予感がして産婦人科へと駆け込んだ。

「残念ですが流産です。お腹の中の子はもう……」

医師から告げられた言葉を受け止め切れる事ができず、私は呆然とした。そして家に帰って泣き続けた。

「ごめんね……。ごめんね……。ぐすっ……守ってあげられなくて」

ふと頭に浮かんだのは、あのバイバイと言った幼女の事だった。そういえばあの子、私と旦那に顔のパーツが似ていたような気がする。

「まさか!?」

最後に私に顔を見せてくれたのかな?
もっと話したかったな。
公開:22/04/15 10:50

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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