幼き日の約束

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祖母の田舎に来るのはいつぶりだろう。小さいころの僕は、イマイチ自然の良さが分からなかった。
「つまらない場所」のイメージが強いのが正直な感想だ。
唯一記憶にあるのは華奢な白髪の女の子。虫取りや川遊びをして遊んでいた。
「大きくなったら結婚しよう!」なんて言ったこともあったか。子どもの戯れである。
「あの時の君は面白かったなぁ!ムカデを怖がる君はとても愉快だった!」。
再会した彼女は、笑いながらそう言った。横に座る彼女の姿は、あの時と何も変わっていない。
そう、「何も」。
「約束、したよね?」。高揚感と狂気を孕んだ深紅の瞳で、彼女は笑ってそう言った。
二股になった舌を見せながら。
SF
公開:22/04/12 14:07
更新:22/04/13 14:55

たす

閲覧していただき、ありがとうございます。そのへんにいる学生です。
自分のペースでゆる~く書いています。

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