核ありき

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 A国とB国は同じ連邦に属していた兄弟国であった。
B国は隣国E国の自由に憧れていた。それをA国独裁者アレクサンドルは不快でありB国の大統領アレクサンドロスのことも何気に面白くなかった。
 アレクサンドルは住民保護のための平和維持を掲げ、旧連邦勢力圏復活に向けた軍事行動に出た。
 しかし想定以上の応戦に遂には禁止化学兵器サレドンAに手を出した。サレドンAを吸うと親A国派になるという恐ろしい兵器である。
 対抗しアレクサンドロスも改良型サレドンBの使用命令を出した。
 日毎に勢力図は塗り替えられたが、ある日両国は戦争する意味を失った。
 A国民もB国民も同じ思想を持つことに気付いた。
 それは化学兵器サレドンAとサレドンBの頻用による中和反応であった。両国は終戦を迎えた。
 しかしアレクサンドルは今も秘密地下シェルターで核バッグを抱え震えているという。唯一人副反応から免れた人間であった。
その他
公開:22/04/13 10:15

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