見つめるその先に

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僕の皮膚組織は光を透過してしまうという特殊な性質を持っている。簡単に言えば、透明人間という奴だ。
そう聞くと羨ましい、なんてよく言われるが実際は苦労の方が多い。何せこの体、窓ガラスと同じで完全透明ってわけじゃない。
体についた汚れは浮き彫りになるし、汗だってかく。透明だけど、そこにいるってのが分かるんだ。
それなのに僕の顔は見えない。僕の顔を見るにはしっかりとメイクを施さないといけない。メイクを施したところで瞳の色が見えない。その不気味さに彼女なんて出来た事ないよ…
透明人間なんて現実には不便の塊だ。僕は一生独身なんだろうな…と思っていた。
彼女が僕を見つけてくれた。弱視の瞳で僕をじっと見つめてくれた。
僕の姿ではなく、僕の存在を感じ取り、見つめてくれる。
彼女は僕の存在を見つめるのが好きだと話す。
どうして?と聞くと、僕というフィルターを通すと世界が美しく鮮明に見えるからと言ってくれた。
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公開:22/04/12 20:27

幸運な野良猫

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元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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