意師

「先生。最近やる気に溢れちゃって」その声に意師は微笑む。
「木村さんこの数値なら十分『生き生き』です」
「先生の様な名意に巡り会えて良かった」
「光栄です。まだ意師の数が少ないですからね」
法律上医師にしか死亡判断が下せないように、意師にしか充実して生きているかの判断が下せないように法改正されてからまだ日が浅い。
「生き生きを頂けないとどういう扱いに？」
「以前は死亡、生存の２種類だった生存状態が今は死亡、生きている、生き生きしているの３種類になったんです。なので『単に生きている』という扱いになります」
「そりゃまた」
「生き生きじゃないと買えない物、就けない職業を今後国は制定するようですよ」
「これからの若者は大変だな」退出する患者と入れ替わりに看護師が入る。
「先生、この名無しの検査結果どうします？」「預かるよ」

「マズイな。このままじゃ…」
受け取った結果を意師は苦々しく見つめた。