心の扉
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誰にだって知られたくない心の内がある。彼の心の扉の重さは、何トンあるのだろうか。ビクともしない。押しても引いても彼の心の扉は、開く事はなかった。彼はずっと心を閉ざしたままだ。重い病気で入院し、ふさぎ込んでしまった彼の心の扉を開こうと、看護師である私は奮闘していた。
「おはよう。今日も良い天気ね」
「ああ……」
「ねえ。ちょっと散歩に行かない?」
「いや、いい……」
「そんな事言わないで。ね?ちょっとだけ」
私は彼を車椅子に乗せて散歩に連れて行った。春らしい陽気で桜吹雪が綺麗だった。
「桜だ。綺麗だね」
「ああ……」
「あ、そうだ。ちょっと待ってて」
私はアヤメの花を摘んできた。
「これ病室に飾ろうよ」
「何それ?」
「アヤメだよ。花言葉は希望。絶対に病気は治るから。ね?」
「ありがとう」
初めて彼にお礼を言われた。どうやらほんの少しだけど、彼の心の扉は動いたのかもしれない。
「おはよう。今日も良い天気ね」
「ああ……」
「ねえ。ちょっと散歩に行かない?」
「いや、いい……」
「そんな事言わないで。ね?ちょっとだけ」
私は彼を車椅子に乗せて散歩に連れて行った。春らしい陽気で桜吹雪が綺麗だった。
「桜だ。綺麗だね」
「ああ……」
「あ、そうだ。ちょっと待ってて」
私はアヤメの花を摘んできた。
「これ病室に飾ろうよ」
「何それ?」
「アヤメだよ。花言葉は希望。絶対に病気は治るから。ね?」
「ありがとう」
初めて彼にお礼を言われた。どうやらほんの少しだけど、彼の心の扉は動いたのかもしれない。
公開:22/04/09 08:49
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