第三の乳首

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 三つ目の乳首が胸の間から生えてきた。少し小ぶりで薄い色。コールドスプレーをかけたら取れた。取れても取れても生えてくる。毎日生える。
 何か有効活用したい。クラスの男子から、お弁当を持ってこない、好きになっても構わない人を選ぶ。菊地に決めた。ダイエットとか理由をつけて、私のお弁当をあげる流れを作る。取れた乳首を片栗粉で揚げ、スパイシーに味付けして毎日お弁当に入れた。私には予感があった。
 そしてある日。「なあ、澤田」
 ちょっと待ってと言って、人気のない場所へ連れ込む。
 「菊池くん、最近乳首増えてない?」
 相手の顔色が変わる。
 「ちょっと見せてよ」
 「……いいけど」
 菊地が制服を脱ぐ。まくったシャツから男子の匂いがした。
 「澤田」
 「何」
 「今度の日曜、二人で遊びに行きたい」
 返事の代わりに私は菊池の胸の真ん中にある三つ目の乳首に口を寄せ、そのまま思い切り噛みちぎった。
青春
公開:22/04/09 20:00

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