好きだからこそ

私は部長が好きだ。愛している。結婚したい。
でも部長は私に振り向いてくれない…歳が離れているから？世間の目が気になるから？
問い質す私に部長は困り顔で口を開く。
「妻を今も愛しているんだ」
部長の奥さんは５年前に事故で亡くなっている。亡くなった奥さんを今も愛しているの？
「妻は僕の心の中で生きている」
そう話す部長を見て、身を引こうと考えた時もあった。でも私は諦めなかった。
寂しそうに一人、居酒屋で酒を飲む部長を見つけるとその心の隙間に付け込んだ。そっと心の隙間に忍び込み、奥さんを探す。
…見ぃつけた。
私は駆け出すと部長の心の中の奥さんを殺した。
そして何食わぬ顔で心の隙間から抜け出した。
部長の心の中に奥さんはもう生きていない。これで憂いなく私と結婚してくれるはずだ！
改めて告白する私に部長は困り顔で口を開く。
「僕の母と同じ年の人はちょっと…」
はぁ…次は部長のお母さんを殺さなきゃ…