8
5
朝、目が覚めると首筋のあたりに異物。背中に何か付いている。隣の妻を起こして見てくれと言った。妻は眠そうな顔で私の背中を見ると「つまみよ、これ、ジッパーの!」「え?」「首の下からジッパー。つまみを引っ張る?」「ちょっと待ってくれ」私はパジャマを脱ぐとドレッサーに立って見た。妻が渡してくれた手鏡には首につまみが見え背筋に細かな凹凸の溝、ジッパーだ。「下げてみるわね」妻がつまみを指でそうっと引き下ろすと、背中の皮膚が開いてゆく。開いた皮膚の下からはまた背中が現れた。痛くも何ともない。下げると尾骶骨のあたりで止まった。半開きになった皮膚がたるんで、肩から上腕部から胸のあたりまで脱げそうな気がしたがそれはやめた。薄いシャツを着ている感じ。「どうする?」「元に戻してくれ」妻がゆっくりとシッパーを上げる。背中がぴったりとした感じ。「時間だから」と私は服を着てネクタイを締めいつものように会社に向かった。
その他
公開:22/04/11 08:34
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
ログインするとコメントを投稿できます