見つめるその先に

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家計簿を見つめ、ため息を吐く。
赤字だ…夕焼けより赤い真っ赤っか。大赤字である。
どうしたものか…と頭を悩ませる私に夫は「大丈夫だよ」と笑いかける。
何が大丈夫なものか。子供達の学費に食事代、私や貴方のお小遣いを減らしてもなお赤い。こんな状態でどうしろというんだ…
暗く落ち込む私の肩を優しく叩く夫。
「家計簿ってさ、日の暮れと同じなんだ。今は赤いけど、じき暗くなる。その暗さは気持ちの暗さか、それとも黒字黒さ。どっちにもなれるんだ。どっちになっても大丈夫なように僕、頑張るよ」
その微笑みは夜の月のように儚いもの…でも、その微笑みに私は見惚れてしまう。
「それにさ、夜が明けたら太陽が昇る。これを越えたら、きっと明るい未来が待っているさ」
夫が言うのなら本当にそんな気がしてきた。
お先真っ暗…なんて思ったが夫の明るさが私を救ってくれる。
再び家計簿を見つめる。先の事は分からないが多分何とかなる。
公開:22/04/10 20:32

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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