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                                「知らなかったんだね」
主人の様子を見たキノワは、少し意外そうな表情を浮かべた。
「俺らで示し会わせたと?」
「そうでもなきゃ、こんなお節介できないと思って」言いながら、手元の御宝に視線を移した。
異国の義賊でも気取ったのか。
「でも違ったんだね。すごいや」
その賞賛が誰に対してだったのかは分からなかった。少なくとも主人は自分ではないと思ったようで。
「そうだな…」とだけ返した。
脱力と失望に沈んだ声だった。わたしも似た気持ちが沸き上がっている。言ってしまえば、この勝負は茶番ということだったのだ。我々が、加担したか、利用されたか。違いはそこぐらいしかない。
「…うん。もう満足」
その空気を変えるようにキノワは声を上げた。
「お兄ちゃん」
「…何だ?」
「これ。返してきてもらえるかな」
と、黄石の蜂を指した。
「うん。さっき蒼い猫さんが落としていっちゃったんだ」
    主人の様子を見たキノワは、少し意外そうな表情を浮かべた。
「俺らで示し会わせたと?」
「そうでもなきゃ、こんなお節介できないと思って」言いながら、手元の御宝に視線を移した。
異国の義賊でも気取ったのか。
「でも違ったんだね。すごいや」
その賞賛が誰に対してだったのかは分からなかった。少なくとも主人は自分ではないと思ったようで。
「そうだな…」とだけ返した。
脱力と失望に沈んだ声だった。わたしも似た気持ちが沸き上がっている。言ってしまえば、この勝負は茶番ということだったのだ。我々が、加担したか、利用されたか。違いはそこぐらいしかない。
「…うん。もう満足」
その空気を変えるようにキノワは声を上げた。
「お兄ちゃん」
「…何だ?」
「これ。返してきてもらえるかな」
と、黄石の蜂を指した。
「うん。さっき蒼い猫さんが落としていっちゃったんだ」
        ファンタジー
      
      公開:22/04/10 18:04
更新:22/04/10 18:04
    更新:22/04/10 18:04
                  ファンタジー 
                  連載 
                  怪盗 
                  探偵 
                  犬 
                  猫 
              
    まずは、こんにちは。
練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。
小説・脚本なども執筆してます。
【番号なし】 用語・設定解説
【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。
【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』
【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。
【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』
【001~】 短篇集『short TaleS』
 
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