見つめるその先に

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久しぶりに息子と公園にやって来た。
息子は俺と一緒に出掛けられるのがよっぽど嬉しいのか凄くテンションが高い。オッサンの俺ではついて行けず、少し離れた場所で息子を見守る。
ブランコを楽しそうに漕ぐ息子。もうかれこれ30分以上ああしている。何が楽しいんだか…
ふぅ…そろそろ帰るか。
声をかけると息子はちょっとだけ俯き、笑顔で「うん」と答え、ブランコの速度を落としていく。
息子の足元を見ると息子の影はまだ遊び足りないのか、ブランコをこぐ足が止まらない。
その影に寄り添うのは…俺の影か?足元を見れば俺の影がいなくなっている。
二人の影を見つめる。俺の影がブランコを漕ぐ息子の影の背中を押す。息子の影は凄く嬉しそうだ。
…仕方がないな。
ブランコを止めた息子の背中をそっと押してやる。
「もうちょっとだけ、遊んでいくか」
息子は夕日より眩しい笑顔を浮かべ、俺に背中を預けた。
影と俺達の姿が再び重なった。
公開:22/04/06 20:23

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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