バラバラ死体

　マンションのゴミ捨て場にバラバラ死体が捨ててある。半透明のゴミ袋の底には血が溜まっていて、身開いたままの目が透けて見える。上半身に着たままのシャツが私とお揃いで気味が悪い。
　夜、仕事から戻るとまだ死体は置きっぱなしで、ゴミ袋に赤いシールが貼ってあった。「これは燃えるゴミではありません。所定の手続きで処分してください」
　所定の手続きって何？
　私の知らない所で世界のルールがどんどん変わっている。選挙に行かなかったせいか？
　死体は未だに放置されている。原形を留めない腐ってるのに目玉は残っていて、朝、ゴミ出しに行くたびに恨めしそうに半透明の向こう側から覗き込んでくる。おまけに他の住人から死体を放置しているのは私だと疑われているらしい。同じシャツを着てたのを見られていたのだ。でも私は責任なんか取りたくない。確かにあなたを一番気にかけてるのは私だが、たまたまシャツが同じだっただけなんだから。