見つめるその先に

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私は国王であるが力強くない。賢くもない。権力ですら持ち合わせていない。お飾りの王様、なんて呼ばれている。
無能な私が政をしては国が崩壊してしまう。無力な私が戦をすれば国は滅んでしまう。故に私は人に頼る。
己に出来ない事は出来る者に任せよう。
私は人を見抜く目利きが得意でね。じっと見つめ、野心を持っていないか?間者ではないか?目の奥に潜む本質を見抜く。
そうして集めた有能な者達に仕事を任せ、私は王座で趣味の読書に耽る。
ちらり、と顔を上げるとメイドが微笑んだ。目が合って思わず赤くなる。
最近の私はどうもおかしい。彼女を見ると胸がときめいてしまう。
これが恋か?恋は盲目とはよく言ったものだ。彼女を見つめても本心がまるで見えない。私を揶揄うのが好きだという悪癖ですら魅力的に感じてしまう。
彼女をもっと知りたい。彼女を妻に迎えたい。その努力を今はしている。
さすがにこればかりは他人任せに出来ない。
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公開:22/04/07 20:29

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