見つめるその先に

「頭領、先程から千里眼を使っているようですが何見つめているんですか？もしかして、女湯を覗いているとか？」
『馬鹿野郎。誰がそんな事するか。千里眼を使って女湯を覗いたらどうなるかお前も知っているだろう』
「頭領のお爺さんでしたっけ？確かメデューサの入浴を覗き見して石に変えられたんですよね」
『その通り。里の広間に設置して、偉大なる先祖の像と呼んでいるがあれはただのスケベ爺の末路だ』
「じゃあ何を見つめていたんです？」
『カチカチ山だ。先程、オババが暗殺された…』
「あの百戦錬磨のオババがですか！？相手は！？相手は誰です！」
『狸の里の忍だ。奴らめ…ついに我ら狐の里に攻め入って来たか』
「今すぐ兵を集めます！」
『待て！』
「何故です！オババが殺されたんですよ！」
『この一件、どうも裏がありそうだ。あの狸を泳がすぞ。その上で背中に火をつけて、背後にいる者を炙り出す。情報収集のプロ、兎を呼べ！』