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「まずい!」
そう思った時には、もはや手遅れだった。
彼の視線はすでに釘付けになっている。
このまま放っておいたら、大変なことになる。
そう思った私はあの手この手で彼の気を逸らそうとするが、彼にはもう届かなかった。
「ねえ、大丈夫?これからのこと、ちゃんと考えてくれてる?」
そう聞いても、大丈夫だって、と笑うばかりだ。
私の不安はどんどん募っていく。
そんな不安を感じ取ってくれたのか、やっとこっちを見た彼は優しい笑顔を見せてくれた。
いや、やっぱり何も分かっていない。
彼の視線はまた戻ってしまった。
こうなってはもう、なるようになれだ。
「大丈夫だったろ?」
「ほんとにもう!心臓に悪いからやめてっていつも言ってるでしょ!」
「でも、いつもちゃんと間に合うんだから気にするなって。」
そう、なぜかちゃんと間に合うのだ。
知らない道を見つけたらどうしても行ってみたくなるという彼だが、不思議と。
その他
公開:22/04/25 18:00

ハル・レグローブ( 福岡市 )

趣味で昔から物書きをのんびりやってます。
過去に書いたもの、新しく紡ぐ言葉、沢山の言の葉を残していければと思います。
音泉で配信されているインターネットラジオ「月の音色 」の大ファンです。

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