パセリ庭園

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「いやぁ、うまかったなこのオムライス」
「ああ、うまかった」
そこに、70代くらいの男性がやってきた。
「お二人さん、ちょっと見せたいものがあるんだが」
店を出て、店員でもないその男性に俺たちはついていった。
「ここだ。私が作った庭園、見ていってくれんか。もちろんタダだよ」
暇だった俺たちはその男性に付き合うことにした。
「おお、これはすごいですね」
「立派な庭園だ」
広大な砂利の庭の真ん中に構える一本の大きな木。豪華とは言えないが、そのシンプルさが逆に荘厳な雰囲気を引き立たせている。
「私はパセリ農家。そしてこれはパセリの集合体。私は食べられなかったパセリを全国から集めているんだ。君たちがさっき残したパセリもやがてここへやってくるだろう」
「さっきのオムライス、確かにパセリがついてたな」
「私の夢は、これ以上この木が大きくならないことだ」
日の光を目一杯浴びて輝くパセリの葉が眩しかった。
その他
公開:22/04/07 17:00
パセリ 飾り 庭園

雪宮冬馬

日本生まれ日本育ち。年齢約20代。まだまだこれからの男です。
noteでもショートショート書いてます。
よろしくお願いします。

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