お花見の爺さん

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「おい、あの爺さん。また来てるぜ」

お花見に来ていた俺達は、絶好のポジションを狙っていたが、またあの爺さんに狙っていた場所を取られてしまった。

「もう諦めようぜ。あの場所は取れねえよ」

何度頑張ってみても、爺さんはいつもあの場所を陣取っていて俺達が場所を取れる事はなかった。

「しかしあの爺さん。毎日いるよな」
「しかも一人だよな」
「ちょっと爺さん誘ってみようぜ」

俺達は爺さんを花見に誘う事にした。

「なあ爺さん。一人だろ?俺達と一緒に花見しないか?」
爺さんは、にっこりと笑いながらいいですぞと一言だけ言った。

そして爺さんの陣取っている位置にレジャーシートを敷いて花見を始めた。盛り上がっていると、いつの間にか爺さんは消えていた。

「あれ?爺さん?」

後に分かった事だが、あの爺さんは、すでに亡くなっていて、最後に花見がしたかった残留思念がこの世に残っているのだと知った。
公開:22/04/04 10:05

富本アキユ( 日本 )

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・作詞を担当
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