コミュスリッパ2(女性の声版)

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付き合っていた彼女にふられ、俺は女性の声版のコミュスリッパを手に入れた。
旦那様を送り迎えする新妻的ポジ?だ。我ながらキモイ気もするが、今は癒しが必要なのだ。
そして数日間、玄関先でコミュスリッパの「おかえり~」「いってらっしゃーい」の挨拶が繰り返されていたが、俺はまだ彼女の事を考えていた。

そんな仕事帰り、ドアを開けてコミュスリッパを履こうとすると「おかえり」の声が上からした。あれ?視線を上げると彼女が立っていた。
「ど、どうしたの?」「ごめんなさい。私…」

俺達はよりを戻した。そしてコミュスリッパとはお別れだ。
「短い間だったけど助かったよ。さよなら。」
「さよなら。また、A社のコミュスリッパ、買ってね。」今やこの宣伝文句もお馴染みだ。
「いやいや、ないから」

あれから十数年、元祖新妻の彼女。今では出迎えどころか「おかえり」の一言もまれだ。
悲しいかな、俺は今もA社のお得意様だ。
その他
公開:22/04/04 00:00
更新:22/04/04 00:10

シロヒロ( 横浜 )

横浜在住のシロヒロです。
皆様の心の琴線に触れる作品を投稿できたら嬉しいです。

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