りか

「雨っていうのは何も悲しい言葉じゃあないんだよ。農家にとっては恵みの雨。それこそ雨が振らないと死活問題。晴ればかりじゃあ作物は育たない。雨が一番大事と言っても過言ではない。雨が降らないとあのきれいな虹は見られないんだよ。雨が上がってはじめて目の当たりにするんだ。ずっと快晴ではお目にかかれない。私達に生きていくために一番必要なのは水。いろんな水、海の水、川の水、水道水、ずーと辿っていくと雨に行き着くんだ。だから雨っていうのはなくてはならないものなんだ。」

「わかってるよ、そうじゃなくて」

「だからね、この雨っていう珍しい名字にマイナスのイメージを持つ必要はないんだよ。お父さんはいつも思うんだ。あぁ雨っていう名字で良かったなぁって。雨降夜、あめふるやっていう名前で良かったなぁって。」

「わかってるって、だからそこじゃなくて。名字じゃなくて名前の方に怒ってんの！何でリカって名前にしたの！」