見つめるその先に

散歩中、ふと視線を感じ足元を見てやると青く小さな花が風に揺れている。
何という花だろう？調べてみる。思わず顔を顰めてしまった。
オオイヌノフグリ。そのあんまりな名前に調べなきゃよかった…なんて思った人も多いだろう。意味が分かる人ならば思わず顔を赤らめてしまうだろう。
意味と言えばオオイヌノフグリにはこんな話もあってね。
ある獣医師がそれほど難しくもない犬の去勢手術に何度も失敗し、その死体を庭に埋めて隠していたそうだ。
その庭に咲いた花こそオオイヌノフグリさ。別名を星の瞳と言う。
星になった犬達が「どうして僕らは死んでしまったの？」と涙で潤む瞳を花に変え、見つめてくる…という話さ。
だから獣医師はオオイヌノフグリを見る度に襟を正さなければならない。
そうしないとオオイヌノフグリはずっとこちらを見つめて来るからね。
ところで君、さっきからずっと見つめられているけど、もしかして犬に何したのかい？