良い人生の腐らせ方

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若い頃、俺は常に上を目指す野心を持っていた。
仲間なんていない。周りは皆ライバルで敵だ。
だが、俺がどれだけ努力しようとも評価されるのは周りばかり…俺の頑張りは空回りしていた。
それに気付き、俺は頑張るのをやめた。腐ってしまった。
そして昔の俺のように頑張っている奴の足を引っ張るようになった。
「頑張っても無駄だ」「その行為に意味はない」そう囁いては熱意ある若者の心を折り続けた。
だが、何故かそれが評価される。
「頑張りすぎて体を壊すところでした」「このやり方、効率が悪かったんですね」と礼を言われる。
いや、そんなつもりで言ったんじゃないから!
困惑する俺はさらに社長からも礼を告げられた。
「向上心の高い若者は心を折られると立ち上がれなくなる事が多い。その前に君が心折ってくれて非常に助かるよ。君の腐り方はまるで味噌のようだな。今の君、発酵(発光)しているよ」
成程…腐るのも案外悪くないな。
公開:22/04/05 20:23

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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