読書家

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占いをやっている私の元へ、一人の女性がやってきた。
「私、人に流されやすいんです。よく自分の意見を持ちなさいって言われます。他人の影響を受けやすいんです。どうしたらいいでしょうか?」
私は答えた。
「あなたは『読書家』に向いているかもしれません」
「読書家?」
「ただの本好きという意味ではなく、『読書家』という職業があるんですよ」
「どうすればなれるんですか?」
「ひたすら毎日本を読んでください」
「はあ」
彼女は「読書家」になった。小説、漫画、あらゆる書物を読み、他人の影響を受けやすい彼女は書物に出てくる人物になりきった。あるときは弁護士に、またあるときは海賊になった。登場人物がノーベル賞を受賞する物語を読めば、彼女もノーベル賞を受賞した。
ある日、ニュースを見ていると、彼女が出ていた。
「連続殺人事件の犯人が捕まりました」
おやおや、彼女はシリアルキラーが出てくる本を読んでいたようだ。
ホラー
公開:22/04/05 17:00
読書家 読書 怖い話

雪宮冬馬

日本生まれ日本育ち。年齢約20代。まだまだこれからの男です。
noteでもショートショート書いてます。
よろしくお願いします。

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