握る専門2

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先日変わった寿司屋に行ったという同僚の話を聞いて、私もその店に行ってみた。
「おまかせで」
「はいよっ」
同僚が言っていたように、とてもロボットには見えない。
「へいお待ち!」
「これは?」
「ダイオウグソクムシの甲羅です」
あのダンゴムシみたいなやつか。確かに変わった寿司屋だ。
「どんな味ですか?」
「さぁ。私は握る専門なので」
同僚の言ったとおりだ。
「へいお待ち!」
「これは?」
「ハダカカメガイの軍艦です」
クリオネのことか。見るとまだ動いている。踊り食いか。
「どんな味かわからないんですよね」
「えぇ。握る専門ですから」
思っていた以上にひどい店だ。
「そういえばお客さん、いつもコソコソ会っている女性は一緒じゃないんですか?」
突然の大将の言葉に驚いた。
「な、何のことだ」
「奥さんがいるのに別の女性と……」
「な、なぜお前がそんなことを」
「私は握る専門ですから。人の弱みもね」
その他
公開:22/03/31 17:00
寿司 ロボット AI

雪宮冬馬

日本生まれ日本育ち。年齢約20代。まだまだこれからの男です。
noteでもショートショート書いてます。
よろしくお願いします。

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