プラネタリウム

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 恋人に振られた上、宇宙人に話しかけられた。気持ち悪いタコ型で、周りが騒がないので多分私にしか見えてない。うねうね寄ってきて、
 「あなたは自殺する」
 しない。そこまでショックじゃない。自分の気分を人に決めつけられるだけでも腹立つのに、こいつは人ですらない。
 「我々は地球上のさまざまな生物の死体を収集しているのです。あなたの死体もぜひ加えさせて頂きたい」
 と、プラネタリウムに偽装した彼らの宇宙船へ連れて行かれる。館内は中央に椅子が一つだけ。照明が消えた。
 動物の死骸が東の空から次々と昇る。轢かれた猫、薬殺された馬、銃で撃たれた熊が星座のように輝いている。瞬く光を頼りに椅子へ向かう。ロッキングチェアに、ショットガンが立てかけてある。私は銃を膝に置き、椅子を揺らし、目を閉じて、動物たちと一緒に宇宙を駆ける死んだ私を想像しながら、ショーが終わるまでの三十分だけ、こっそり昼寝を楽しんだ。
その他
公開:22/03/31 20:00

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