ヒットマン

俺は流離のヒットマン。日本全国あてのない旅をしている。
桜舞う季節、俺は武器を手にターゲットを背後から狙う。
バンッ！と撃ってやれば突風が吹いた。その風に背中を押され、思わず一歩足を踏み出すターゲット。
桜を見上げるのもいいが、いつまでも足を止めてはいられない。未来へと進むよう、俺はその後押しをする。
俺の吹かせた風が桜の花びらをも巻き上げていく。風に飛ばされる花びらを見て、ようやく歩き出す決心がついたか。
今回の俺の相棒は”吹武器”と呼ばれる特殊なもの。新しい風を吹き込む為の武器だ。
今日のターゲットは素直で良かった。もし、吹武器で動かないようなら”雨器”を使って雨を降らさなきゃいけなかった。
花散らしの雨を見て走り出す後押しをしなきゃならなかった。出来ればそれはしたくない。
俺もまた、この桜吹雪をもう暫く見つめていたいからな。
俺は流離のヒットマン。次はあんたの街に行くかもしれないぜ。