人成テディベア

1
3

全長百五十センチほどのテディベアがいた。人間になりたい一心で生地を引き伸ばしたのだ。おかげで体型もスリムになった。
それだけでなく、たゆまぬ努力を重ね、口や手足を動かせるまでになっていた。
しかしテディベアは不満足だった。ぼんやり空を見上げていると、雛が木から落ちてきた。華麗にキャッチした。その時、不気味な男がやって来た。
「お助け、感謝する」
「あなたは?」
「わたしは鳥の王、鳥王だ」
「そのまんまですね」
「お礼に、ひとつ願いを叶えてやろう」
「人間になりたいです!」
「喋っておるではないか」
「人間になりたいです!」
「二足歩行もしておるし」
「人間になりたいです!」
「鳥頭かな?」
「人間に……」
「わかった、わかった。叶えてやろう」
「人間になれましたか?」
「なった」
鳥王のその言葉に、テディベアはゾワッとした。
「すごい! 見てください! 鳥肌が立ちました!」
「毛で見えん」
ファンタジー
公開:22/03/30 13:50

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容