親子橋

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観光名所である親子橋は、大きな橋とその横に小さな橋の二つの橋がある。それらはまるで親子の橋のようで、親子橋と呼ばれている。子供の頃、僕は子供橋を渡った。父さんは親橋の真ん中からこっちに向かって手を振ってくれた。それが思い出だ。父さんは、病気で亡くなってしまった。僕も結婚し、息子が出来た。
子供ができたら親子橋に連れて行ってあげて、父がしてくれたように親橋の真ん中から手を振るのが僕の密かな夢であった。息子は四歳になり、親子橋に連れて行った。息子は小さな橋を歩いて渡るのが楽しそうではしゃいでいた。俺は親橋の真ん中に行き、息子に手を振った。そして息子が橋を渡っている様子を写真に撮ろうとカメラを構えていると肩を誰かに叩かれた。

「そのままでいい。お前も立派な父親になったな。俺は安心した。孫の顔も見れたし満足だ」

その声は父さんだった。僕はビックリして後ろを振り返るが、そこには誰もいなかった。
公開:22/03/30 10:23

富本アキユ( 日本 )

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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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