もうひとつのさるかに合戦

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むかしむかし、あるところにかにがいました。そこへさるがやってきました。
「かにさん。そのおにぎりとこのカキの種を交換しないかい?」
「だめよ。これは子どもたちのものなの」
「これを植えたらたくさんカキができておにぎりなんかよりずっとお腹いっぱいになるぜ」
「うーん。わかったわ」
家に帰ったかにはそのカキの種を植えました。
「はーやく芽を出せカキの種」
すると芽が出てきてぐんぐん大きくなりました。
「はーやく実がなれカキの木よ」
今度は木にたくさんのカキができました。するとそこに先ほどのさるがやってきました。さるは木に登り、自分だけカキを食べ始めました。
「あ、そんなに食べないほうが……」
静止するかにに耳も貸さずさるは食べ続けます。
「うっ……」
急に苦しみだしたさる。さるが食べたのは生の牡蠣だったのです。
「あーあ。食あたりを起こしたんだね」
さるは海の生き物の怖さを思い知りましたとさ。
その他
公開:22/04/02 17:00
昔話 さるかに合戦 牡蠣

雪宮冬馬

日本生まれ日本育ち。年齢約20代。まだまだこれからの男です。
noteでもショートショート書いてます。
よろしくお願いします。

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