懲役三秒

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「主文、被告人を懲役三秒に処す」
「えっ?」

俺の罪はこれで許されるのか。本当に?信じられない。死刑か無期懲役になってもおかしくないと思っていた。深い罪の意識はあった。どうして俺の罪がこの程度で許されるのか。傷害罪だぞ。人を傷つけたんだぞ。凶器を使ったんだ。それは非人道的で決して許される行為ではない。被害者になんとお詫びをすればいいか。本当に申し訳ありませんでした。俺ができる罪滅ぼしは、何でも致します。だからどうかどうか許してください。

俺の罪――。
それは彼女を膝枕して耳掃除をしていた時に、耳かきで耳の奥を少し突いて少し痛がらせてしまった傷害罪だ。だから彼女は言った。

「懲役三秒ね」

彼女は最近、裁判員制度で裁判員に選ばれた。それから裁判ごっこにハマッてしまった彼女は、事ある毎に俺に懲役三秒の判決を言い渡してくるのだ。

今日もまた懲役三秒になってしまった。
公開:22/04/02 09:48

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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