途中下車

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夢を叶える為に故郷を飛び出し、都会で生活を始めた。
だが俺には才能がなかった。心は折れ、もう立ち上がる事も進む事も出来ない。
気が付けば、故郷に戻る列車に乗っていた。この10年…何だったんだろう…
金が尽き、途中で駅を降りてからは見知らぬ土地を歩く。長閑な田舎の風景はどこか故郷を思い出させた。
気が付けば、俺はこの田舎で厄介になっていた。ここは働き手が少なく若者が重宝される。
故郷に戻っても働くアテはないんだ。故郷に帰ったら役に立てるよう、暫くここで己を見つめ直そう。
そうして2年が過ぎる頃、俺の中では夢の残滓がくすぶっていた。捨てたはずの夢がもう一度動き出したいと声を上げる。
身勝手は承知で俺は都会に戻って来た。カレンダーを確認する。俺が都会を出てまだ2カ月も経っていない。何故だ?どうなっている?
「田舎は時間の進みがゆっくりなんじゃよ」
田舎で世話になった爺さんの声が聞こえた気がした。
公開:22/03/27 20:35

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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