名刀鬼切と鬼丸

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病で床にいた新田義貞はもう自分の先が長くない事を悟っていた。
(あの世に行く前に鬼切を取り返したい)
義貞は一度は鬼切と鬼丸を手中に収めていたが、先の斯波高経との戦に敗れ、鬼切を奪われてしまった。鬼切は源家相伝の名刀“鬼切安綱”である。首を切り落とす時に髭まで切れる事から“髭切”の別名も持つ。もう一つの名刀鬼丸は天下五剣の一つで“鬼丸国綱”である。
義貞のもう一つの心配の種が傍らにいる嫡男の義成である。
家中からも義貞の後継を任せられるのかと疑問を投げかけられていた。
はやい話、非常に凡庸で武将の器ではないという事だ。
「義成よ、儂が生きている間に鬼切を取り返せるか」
「父上、もうすでに吾が手に握っておりまする」
「なんと、まことか。見せてみよ」
「これでござりまする」
「お、これは、おにぎりではないか・・・」
(こやつ、これはコントなのか・・・)
義貞の寿命が十日ほど縮まった。
ファンタジー
公開:22/03/31 07:00
更新:22/03/30 08:22

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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