桜づくしの街

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春爛漫、桜の季節がやってきた。

朝、通勤するために最寄りの駅へ向かって徒歩で自宅を出る。
高台にある住宅街の桜坂を下れば、桜並木の花びらが満開で、桜吹雪が美しく、一本道は桜の絨毯のようだ。
商店街では、魚屋に地元の漁港で捕れた新鮮な桜エビや桜ダイ、青果店にサクランボ、和菓子屋に桜餅や桜まんじゅう、パン屋に桜あんパンや桜ジャムが並ぶ。
駅に到着すると、桜の花びらがラッピングされた淡いピンク色の路面電車がやってきた。乗りこみ、路面電車が動き出して車窓を眺めれば、波とともに打ち上げられた桜貝で海岸が桜色に染まり、雄大な桜富士も拝める。

通勤帰り、路面電車の車窓を眺めれば、桜色の夕空に海は燦然と輝き、桜富士も一段と映える。
商店街では、オリジナルのエンディング歌謡曲『桜街道・春景色』のメロディーが流れる。
桜並木は、ライトアップされて夜桜見物が楽しめる。

こうして桜づくしの街の一日が終わる。
その他
公開:22/03/27 07:02
桜坂 桜並木 桜吹雪 桜エビ 桜ダイ サクランボ 桜餅 桜まんじゅう

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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