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桜の林と書いて「おうりん」と呼ばれる桜の群生地があるそうです。
それはそれは見事な桜が咲き、天から地まで桜色に染め上げるそうです。
それほどなら、桜の名所として知られているはずですが、不思議なことに何処にあるのか誰も知らないようです。

いつもの朝、いつものように通勤のためにハンドルを握っていました。
しかし、気付くと私は見知らぬ土地に立っていました。
目の前では幾千もの桜が景色を支配し、私を手招いているように感じました。
直感で、これが桜林だと確信しました。
いつの間にか桜林の中を歩いていました。
後ろを振り返ると、桜の花弁が嵐のごとく散っていて、引き返してはいけないような気がしました。
花弁の先に、昔飼っていた犬のポン助によく似た犬の後ろ姿が見えました。
「待って」
私の声が聞こえてか聞こえずか、林の向こうの真っ白へ姿を消してしまいました。
後を追って、私も真っ白の中へ踏み出しました。
ファンタジー
公開:22/03/29 21:39
日笠山水夫 桜林

日笠山 水夫

日笠山 水夫(ひがさやま すいふ)と申します。
いろいろと初心者ですが、よろしくお願いいたします。
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Twitter: 日笠山 水夫 (@mariner_basil) / http://twitter.com/mariner_basil

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