姥捨て島

昔々の話、貧しい家は年老いて働く事の出来なくなった親を山に捨てる風習があった。
非情ではあるがこれも自分や妻子が生きる為…
しかし中には家に戻って来る捨て親もいた。
そうした者を少しでも減らす為、ついには姥捨て山ならぬ姥捨て島が生まれた。
島流しの刑さながら、船でしか渡れぬ島に捨てられた年老いた親達。
その者達は島で細々と自給自足の生活を続ける。楽な暮らしではないが、お上がいない分、気が楽だと笑い合った。短い余生を身を寄せ合い過ごしていった。

ある時、島の土を掘り返していると上質な鉄が出てきた。
これは我々には不必要な物…そう思い、年老いた親を捨てに来た若者に取引を持ち掛けた。「この鉄をくれてやる代わりに、島の暮らしが良くなるよう物資を頂きたい」
若者は取引に応じなかった。それどころか島に住む老人達を虐殺した。
老人達を”人の心を誑かす鬼”と呼び、鉄を独占した若者の名は桃太郎と言う。