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私のようなものはこの世にどれくらいいるんだろう。人は私をぞんざいに扱い、もう使わないから、体の一部に穴が空いたからと変な場所に捨てる。ご主人様じゃないやつが私を利用し見知らぬ土地に置き去りにされたこともあった。
私のようなものは、長い間放置されていたら処分される。でも人はそんなこと気にしない。邪魔者が消えたと喜びさえする。犬や猫が殺処分されるのは皆悲しがるのに。法律上は犬も私も「物」。同じように扱われるのに。
私のようなものを「放置自転車」と人は言う。
ある日、私に仲間ができた。君も、私の隣に放置されてから長い間ご主人様が戻ってこないのか。かわいそうに。おや、向こうから白杖を持ったおばあさんが来ている。あのおばあさん目が見えていないんだ。私たちは今、点字ブロックの上にいる。どいてあげたいけど思うように体が動かない。
気づいて、私たちここにいるよ。
力を振り絞って私たちは倒れた。
ガシャン。
その他
公開:22/03/28 17:00
自転車 放置自転車

雪宮冬馬

日本生まれ日本育ち。年齢約20代。まだまだこれからの男です。
noteでもショートショート書いてます。
よろしくお願いします。

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