エレベーター

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今日は我社の新入社員のニ次選考する日だ。だいぶ前から君に任すからと言われて、その責任にとても気が重い日々だった。
当日試験会場のあるビルに着くと、通常のメインエレベーターが故障のため、奥にある荷物用のエレベーターに乗らなければならなかった。
中に乗り込みボタンを押そうと思うと、上りだけのボタン表示で階数ボタンが見当たらない。
慌てて降りようと思うと、ドアーがスートと閉まった。
私は焦ってドギマギしている内に、ドアーが再び開き目の前に人が立っていた。
その人は私をこちらに来る様にと手招きし、別の部屋に案内した。
人違いではと言う間も無く、部屋に通され話しかけてきた。

貴方はまだ上に上がれる人です、試験を受けに来た人の気持ちが少しは分かりましたかと言った。
私はうわずった声で、ハイと答えた。
若い人が早く、乗って下さいよと言った。
私はまだ一階のエレベーターの前に、立ち止まっていたのだ。
公開:22/03/24 12:47

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