きつねうどん屋

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そのうどん屋は、きつね目の女将が経営していた。
メニューはきつねうどんのみ。単品一本勝負だ。
流しの客は、メニューがひとつしかないことにとまどっていた。うどんが嫌いなわけではないが、”きつね”の気分では無い。
客が躊躇している姿を見て、きつね目の女将の目がさらに釣りあがった。
「悪いけど、うちは”きつねうどん”しか置いてないんだ。”たぬきうどん”が食べたいならよそにおいき。たぬきはお呼びじゃないんで」
お客は怒り出した。
「ぼくはたぬきうどんを食べたいわけではないし、そもそも、ぼくはたぬきじゃない!」
大きな青い頭をした猫型ロボットは、そう言って丸い手足をバタバタさせた。
その他
公開:22/03/26 11:17

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